大学を途中で辞めてバイト生活をはじめてしばらくして、私が自分の仕事として選んだのは編集だった。もう40年も前のことだ。まだDTP以前の時代で、主流は写植だった。電算写植がそろそろ出てきていたけれどまだ虫眼鏡でドットが見えるぐらいの解像度で評判は…
老母、その後 去年の春、生活のパターンを変えた。年老いた母親の体調が急速に低下したからだ。3年半ほど前に父親が死んで以来、母親の住む実家には週に1回ぐらいの割で顔を出していた。高齢であるし、コロナが流行していることもあったから。ちなみに、父親…
ブコメの言い訳 先日、こちらのツイートにくっつけたブックマーク・コメントに対して、たくさんの黄色い星を頂いた。ただ、短いコメントなので、けっこういろいろな受け取り方をされているのではないかと、あとになって思った。 猫さん on Twitter: "やばい…
「実家が太い」と言ってしまっていいと思うのだが、私は貧しさと無縁な生活を送ってきた。無縁というのもちょっとちがう。いろいろな局面で貧しさと隣り合わせになりながら、そこにつきものの苦しみから本質的に遠いところにいた。事業がうまくいかなくなっ…
中学受験に関してはこのブログでも再々書いているのだけれど、ぶっちゃけていえば、私自身は中学受験指導の経験がそれほど豊富とはいえない。家庭教師業、いちばんお客さんが多いのは高校受験だし、中学受験は手数ばかりかかる。高校受験のノウハウは割と確…
この記事 anond.hatelabo.jp 結婚・同居すんなら「絶対に譲れないこと以外は相手の希望に沿うように譲れ。それも無言でそうしろ」 に対してつけたブックマーク・コメント 結婚・同居すんなら「絶対に譲れないこと以外は相手の希望に沿うように譲れ。それも無…
翻訳エンジンのDeepLは、登場したときから「あ、これで時代は変わったな」と思わせてくれるものだった。ただ、実際の仕事に使おうとは思わなかった。仕事というのは翻訳仕事だ。業務としてお金をもらう仕事では、いくら優れていても使う気になれない。クライ…
私の宗教に関するスタンスは割とはっきりしている。個人的に敬虔でありたいと願っているが、それは他者と共有するものではない。したがって、共有することを前提として人が集まる組織宗教に属することはないし、そういったものとは距離をおきたい。このあた…
はてなの有名人のシロクマ先生のブログは、語り口が柔らかくて、読んでいて気もちがいい。だから割と楽しみにしていて、私がいつも見ている「お気に入り」のリストにあがってくるとたいてい読んでいる(そしてシロクマ先生の記事はたいてい誰かがブクマして…
ランドセルの話が出るたびに、もやもやする。ランドセルという製品そのものについてではない。いや、用途によってはいいものだろう。弾薬を運ぶとか、そういう物騒な話でなくとも、あのカチッとした形状がフィットする用途はあるだろうし、持つ人が持てばオ…
Twitterのアカウントをつくった。特に深い意味があるわけではない。 Twitterを最初に使い始めたのは割と古く、2010年初頭のことだ(アカウントそのものはもう少し前につくっていたようにも思う)。ブログを書き始めたのが2006年で、その頃はいろいろな選択肢…
私はノンポリであると同じくらいに非宗教的だ。ただ、これにかんしては個人的に引いている一線がある。「宗教」というものを私は2つに分けてとらえている。まずひとつは個人的な非合理な思考だ。もちろん非合理的思考のすべてが宗教であると考えているわけで…
蕎麦、といっても麺類としての「ソバ」ではなく、穀物としての蕎麦を初めて意識して食ったのは、たぶん20代の終わり頃、信州の土産で「蕎麦米」を買ったときだと思う。信州土産といえばそれ以前に蕎麦茶は何度かもらったり買ったりしていたので、そこまで遡…
こちらのTweet 電力逼迫注意報か警報が出たらEVの急速充電料金を10倍にしろ論。ええぞやったれやったれ。 pic.twitter.com/ngr9rpZEh1 — ぽよぽよちゃん。 (@poyopoyochan) 2022年6月28日 ぽよぽよちゃん。 on Twitter: "電力逼迫注意報か警報が出たらEVの急…
山岳部の連中は、案外とよく道に迷う。昔のことで、GPS使うのが一般化したいまのことは知らない。笑い話のようではあるが、反省会とか行くとアプローチで道まちがえたとか、下山の道に迷ったとか、割とよく聞いた。自分自身でも、しょっちゅう道を踏みまちが…
前回、「目標、努力、成功、成長について」という記事を書いた。 mazmot.hatenablog.com これはもともと、はてなを代表するブロガーのひとり、シロクマ先生のブログに感じた違和感が出発点になっている。 p-shirokuma.hatenadiary.com p-shirokuma.hatenadia…
家庭教師として生徒を教え始めたときに、最初に確認するのは「なんのために勉強するんですか」ということだ。もともと私は勉強が大嫌いだし(ちなみにざっと9割の生徒が「嫌いだ」と答えているからここでは多数派だと思う)、嫌いなことをあえてするのであれ…
前史(ここは飛ばしてOK) あまり気が進まないままに家庭教師をはじめて10年以上になる。そこら辺の事情は別で書いたので、繰り返さない。やっているうちにいろいろ考えて、「やっぱりこれは自分の仕事なんだろうなあ」と思うようになっていった。そこにすべ…
家庭教師は基本的にナンデモ屋だから、生徒が必要とするものはなんでも扱う。小学校の算数から高校数学まで教えるし、国語だったら平仮名の練習から漢文の解釈まで、英語だったらABCから英検1級まで、どんな教科でもどんな難易度でもやる。もちろん数学Ⅲとか…
…クイーン学院を卒業したとき、未来はまっすぐに、一本道みたいに続いてる、そんなふうに見えた。マイルストーンがひとつひとつ、先の方にはっきりと見える気がした。でも、いま、道は曲がっている。曲がったところの向こう側に、何があるのかわからない。け…
私はどちらかといえば牛乳をあまり飲まない。冷蔵庫にミルクカートンが常備されている、ということはなく、年に数回、500mLの紙パックを買う程度だ。ソフトクリームは好きだけれど、1つ食べるとほぼ確実にお腹を冷やしてしまうので、めったに食べない。乳製…
いま大学2年生の息子は、小学校卒業式に羽織袴で出席した。本来これは彼の思い出であり、私がどうのこうのと書くことではない。ひょっとしたら彼の中では黒歴史に近いものであるかもしれず、あまり触れられたくはないかもしれない。とはいえ、親には親の側の…
教育学業界のことは私にとっては謎だ。家庭教師という仕事をしている以上、それに関する学問に興味はあるのだけれど、入門書を眺めてみてもどうにも解せない。だから、アカデミックな教育の話になると私にはいろいろととんでもない誤解があるかもしれない。…
前回の記事 mazmot.hatenablog.com について、早速にブックマークコメントを頂いた。こういうことがあるからブログはやめられない。ありがたいことだ。 指標が勝手に自己実現してしまう現象について知りたい - 天国と地獄の間の、少し地獄寄りにて 社会学的…
人間は外界の様子を知るために五感を備えているのだけれど、これが案外とアテにならない。アテにならないとはいえそれを使わなければ情報が得られないのだから、なるべくそのあやふやさをなくすために指標が用いられることになる。温かい寒いの感覚は前日の…
トンガの火山大爆発は、ほんとにすさまじい。被害の様子もまだよくわからないというのが、不気味だ。現地の人々の無事を祈るとして、ここにきて何やら話題になっているのがいわゆる平成の米騒動、1993年の冷害による不作に端を発した米不足だ。なぜなら、こ…
「子どもの貧困とライフチャンス」の各章の紹介、というよりも読書感想文をここまで書きつづってきた。監訳者のあとがきをのぞけば、これですべてである。あとがきについては、ふれる必要はないだろう。あとがきだ。このシリーズは、これでおわりにしよう。…
「子どもの貧困とライフチャンス」の第10章〜12章は、ここまでのまとめということになっている。10章は各章で述べられてきた事実、すなわち所得、家族の構造、幼児教育、学校教育、健康、健康、メンタル、住居、就労の問題を有機的にまとめ上げている。11章…
かせぐにおいつく貧乏なし、とはよくいったものだが、最近ではどうも貧乏の足がはやくなったのか、ときどきおいつかれてしまう。経済の基礎代謝があがっているからだ。過去30年ばかりも賃金はあがっていないのに、固定的に出ていく金額はジリジリとあがって…
長く生きてきたおかげで、いろんな場所に住んできた。豪邸からアパートまで、ひととおりの暮らしはわかる。いちばんせまかったのは公称6畳、天井を見上げたらベニヤ板が3枚半という便所共用の中野のアパートだった。いちばん惨めったらしかったのは、田んぼ…