教育とか、英語とか

「生活作文」の気楽な書き方 - 昨夜のアドバイスをもとに

コロナのおかげでどうなるのかと興味深く(失礼!)見ていたのだが、どうやら私の観測範囲では、学校の夏休みの宿題はいずれも例年に比べて少なくなっているようだ。そりゃそうだろうと思う。夏休みは短いし、その短い夏休みに補習を実施するところも少なく…

暗算のヒント - 人間の頭の構造は人それぞれだけど

何年か前、「ズルい算数」という本を書こうと思ったことがある。暗算を中心に、主に四則演算の計算方法について、実用的な方法をまとめておこうと思ったのだ。出版のアテがあったわけではない。書けたらオンデマンド印刷でもやって生徒に配ろうと思っていた…

BlackLivesMatterは「黒人の命は大事」なのか?

合衆国を吹き荒れる#BlackLivesMatterの嵐は、けっして他人事ではない。現代社会がコロンブス以降のグローバル化の果に成立していることを思えば、そのなかで植民地支配の歴史と人種差別の歴史はすべての人々の生活に分かちがたく絡まり合っているといえる。…

なぜいま9月新学期を語るべきではないのか - 意見は変わるのが当たり前

思いもかけず「9月入学」の議論が行われるようになって、マズいなと思っている。本質からズレまくっているからだ。それに関してはもう1週間も前に書いた。 mazmot.hatenablog.com 「9月」は手段であって目的ではない。そして、手段としても既に遅きに失して…

学校はどうすればいいのだろう - 現在進行中の不具合

春休みを含めれば既に2ヶ月、そしてこの先の1ヶ月の合計3ヶ月にわたる学校休業は、既に大きな被害をもたらしている。直接の原因は天災である。新型コロナウィルスの流行がなければこういった事態にはなっていないわけで、そういう意味では誰の責任でもない。…

「授業」はもう時代遅れなのか - 言葉はていねいに使わなければいけないなあ

授業ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 教師が諸分野の知識,技能を生徒に習得させるために行う活動。講義や一斉教授など教師中心の授業が伝統的であったが,今日では新教育の影響で,生徒の自主性や経験が重んじられ,多様な授業方式がある。また…

どのような形で「感染拡大下の教育」が可能になるのか - 極論としての試案

学校のスタートを9月にするという政策が動きはじめているようだ。1ヶ月前からそれを主張してきた私は、複雑な思いをかかえている。それに関しては前回のエントリに簡略に書いた。 mazmot.hatenablog.com 正直、この話題には少し辟易してきていて、そろそろ別…

「9月始業」は目的ではない - 手段と目的を取り違えることの危険

突然のように学校の「9月入学・始業」が取り沙汰されるようになった。私はほぼ1ヶ月前から「9月始業」を唱えてきたので、本来これを喜ぶべきなのだろう。もちろん、「今頃になって遅すぎる」という不満はある。けれど、議論の初動が遅れるのはやむを得ないと…

「9月新学期」について再々考

4月1日のエントリと前回のエントリで、「COVID-19による学校閉鎖問題のひとつの解決策としての9月新学期への制度変更」について書いた。この問題に関しては緊急に議論を深める必要があると思う。その議論はもちろん、こんな片隅の雑記ブログなどではなく、国…

9月新学期再考 - 後手後手の対策はすべてを消耗させる

先週末あたりから急にこのブログへの検索からの流入が増えたなと思っていたら、その頃、有名教育評論家が「9月新学期」を言い出したらしい。そして、それを受けて文部科学大臣も「様々なところで声が上がっていることは承知している」みたいなことを言ったと…

「安心」は安心じゃない - 定訳の厄介さ

専門的な文書、論文であるとか専門書であるとかを翻訳する場合には、まずはその分野の基礎知識がなければならない。とはいえ、依頼が来てからきっちり勉強していたのでは間に合わないから、だいたいは参考文献リストとかから見当をつけて、周辺の文献を大急…

なぜいま9月新学期を検討すべきなのか

4月は学校新年度、というのはもう日本では明治以来常識であって、それを前提にした文化も定着している。入学式には桜の花吹雪だし(最近は温暖化と流行歌のせいで桜はすっかり卒業式に前倒しになったが)、教科書も春から始まる。たとえば小学校の理科では春…

翻訳者は裏切り者

はるか昔、英語の翻訳を学んでいたとき、「翻訳者は裏切り者」( translator is a traitor)という言葉を教えてもらった。元はイタリア語だということで、半分は音が似た単語を並べた言葉遊び(traduttore, traditore)とのことでもあるけれど、現実にそんな…

なぜ27万円のAtomマシンが問題なのか

渋谷区が小中学生向けに導入を決めたタブレットのコストが1人あたり27万円に上ることが話題になっている。これが高いのか安いのか、それは考えかたによるだろう。だが、問題はそこではない。 www.excite.co.jp note.com ざっくり言ってしまえば、区が要求し…

なぜ学校はワープロを受け入れない? - 「現実」に過適応していると未来が失われる

私の観測範囲だけのことではあるのだけれど、現代の小学校、中学校、一部の高校においては、パソコンを使用した提出物を受け入れない。もちろん細かいことをいえば例外はあって、たとえば小学校の夏休みの自由課題なんかでパソコンを使った研究みたいなのは…

大学受験の思い出 - 生存者バイアスから人は逃れられない

大学入試改革が荒れている。改革の目玉の二本柱を失って、「結局センター試験とどう違うの?」という結末が見えてきたのだけれど、まあ変わるところは変わるんだろう。そして、この一連の報道を見てきて、入試に対する自分の感覚は世間一般とずいぶんズレて…

いま、学習産業に携わる意味 - 時代は変わる

家庭教師の端くれとして再び学習産業にかかわるようになってもうちょっとで丸7年になる。「再び」というのは若い頃に出版業界の片隅の「学参」とよばれる分野で仕事をするようになり、20年ばかりその周辺で仕事をしてきた過去があるからだ。そういった「子ど…

最も公平な入試制度 - たとえそれが実現しても、平等は遠い

「入試制度改革」とそのドタバタ劇(特に「民間試験導入」をめぐるもの)を、私は冷ややかな目で見ている。高校生も教える家庭教師として無関係ではないし、実際その動向は商売にも大きく影響するのだけれど、どっちかというと「アホなことは勝手にやってく…

学校はその権力性をもう少し意識したほうがいいという話 - 権力分立が民主主義の基本なのに

睡眠時間は成長期の子どもにもっとも重要だというのに 九州(あるいは福岡県)の高校には、「0限目」あるいは「朝課外」というものがあるらしい。たまにネット上の記事で目にすることもあったし、このブログのコメントでもそういう話が出ていたことがある。 …

なんでノートをとるのかわからない - 美風なんだろうけど

白状すると私はノートを1冊使い切ったことがない。いわゆる大学ノート、学習用のノートのことだ。その小型版の手帳でさえ使い切ったことがない。途中からそれははっきりとわかったので、大学の山岳部にいたときには必要な枚数だけ白紙を小さく切ってホチキス…

タテマエはホンネを隠すための飾りではない、という話

どっちがホンネ? 子どもたちの教育はなんのため、と尋ねられれば、まずは「健全な発達と成長を促し、おとなになってからの充実した人生に備えるため」と答えるべきだろう。子どもは、周囲からどんどん新たな情報を吸収し、それを自分のなかで体系づけながら…

なぜ子どもに家事を手伝わせるべきなのか

つい数日前のことだ。中学1年生の親御さんに「夏休みに何をさせたらいいでしょうか?」と質問を受けた。小学校から中学校に上がるに際して成績が下がることが不安だからと4月から新たに教えることになった生徒だ。ご両親の不安は的中して、家庭教師を付けた…

「やるべきこと」はわかってるんだって - 多くの英語教育論は的外れ

理念は耳にタコ どちらかといえば発達障害気味だった私は子どもの頃、よく叱られた。特に宿題では、しょっちゅう担任教師に説教をされた。小学校高学年以降の宿題提出率はほぼゼロだったから(小学校4年生までは宿題そのものがなかったように思うのだが、そ…

保育園の仕事と経営者の仕事と

What business are you in? 私は「ガープの世界」以来のジョン・アーヴィングのファンなのだが、彼の作品群のなかで特に印象に残っているシーンがある。季節労働者の作業場でもあり宿所でもあるサイダーハウスでリンゴ酒の醸造中に、労働者のひとりであるジ…

障害を個性と言い切れる時代まで、まだまだ遠い

障害者について何かを書けるほど、私は障害者のことを知らない。もちろん身近にも障害者はいて、たとえば老齢の父親は近頃、障害者手帳を交付された。役所に行って手続きをしたのは私だから、これはまちがいない。ただ、だからといって障害者のことが以前よ…

子どもはどこまでわかれば大人になれるのだろうか

How many roads must a man walk down before you call him a man. ボブ・ディランの出世作、風に吹かれての歌い出しだ。いろいろ解釈はあるだろうが、人間は生物学的な存在だけでは人間ではなく、社会的に一人前と認められることが必要だ、というふうに読み…

なぜ比率の理解度が低いのか - 人間の成長の階梯と論理の要請の間で失われるもの

「%」がわからない? 日本の大学生がパーセントを理解できていないというようなブログ記事を見かけた。 toyokeizai.net日本の大学生が「%」を理解できなくなった理由 | ブックス・レビュー | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 大学生が百分率を理…

機械の文章がむしろ標準となる時代に向けて

以前、機械翻訳の進化について翻訳者として感じることを記事に書いた。実のところ、この記事以前にも何度もあちこちで書いていることではある。時代が進むにつれて、アップデート的に書いているわけだ。 mazmot.hatenablog.com そしてまた少し変化があったら…

学校の始業時間を遅らせることは、少なくとも子どもたちにとっては益が大きい、らしい

不登校の話が出る度に関連の話題として自ブログのリンクを貼っていたら、けっこうアクセスがあった。この記事だ。 mazmot.hatenablog.com 上記の記事では不登校の無視できない部分を占める起立性調節障害に関してサマータイムが悪影響を与えるだろうというこ…

日本語上達のための手軽なトレーニング

子ども向けの教材、いわゆる「学参」を編集する業界にいたときには、「これ1冊でOK!」とか、「ズバリ!」とか、「基礎の基礎」とか、とにかく勉強になにか秘法があってそれさえ習得すればどんどん点数が伸びるような錯覚を抱かせるような表現をずいぶんと使…