シアワセの容相

あしたはこっちだ

教育とか、英語とか

「平等」の残酷さ

日本では、身分制度が憲法で明文的に否定されている。そのせいもあって、「生まれがいいから」というだけで特別な待遇を受けるような人生に対して、多くの人が否定的な感覚を覚える。ドラマや小説、アニメやファンタジーであっても、貴族、王族、富貴の生ま…

完璧を求めることで失うもの

500年ほど時代遅れな「百発百中」 興味深いブログ記事を見た。 d.hatena.ne.jp 実はこの「百発百中」理論、私は若い頃、けっこう取り憑かれていたことがある。私はまともな就職はせずに社長と2人の小さな編集プロダクションのアルバイトから仕事人生を始めた…

文章を書くことを教えるのはむずかしい - 教育課程も混乱している?

作文教育は行われているのか? 日本人は論理的な文章を書くのが苦手だと言われている。国際化のこの時代、論理的な文章を書くことの重要性は再三指摘されている。国際化というだけではない。論理的な文章は論理的な思考と表裏一体の関係にある。非論理的な思…

機械翻訳の時代に翻訳者はどう生き残るのか? - 「英語が得意」では食っていけない時代へと

機械翻訳がまた進化した、ようだ 20年ばかりも前に翻訳ソフトというものに初めて触れて以来、いつかは実用的なレベルの機械翻訳が現れると思ってきた。そして10年ばかり前、Googleが「あと10年で完全な機械翻訳を実現する」と言っているのを聞いて、「そりゃ…

教師の仕事は「教える」ことではない - 情報提供者としての自覚

ひょんなことから始めた家庭教師の仕事も、けっこう長くなった。やってて面白いなあと思うのは、これが全力投球を要求されるからだ。子どもだましの古臭い知識を適当に教えとけばいいとか、あるいは生徒が問題を解く監督だけしときゃいいとか、いや、たしか…

道徳教育推進教師に資格はない? - 無資格教員が教科を指導する矛盾

指導要領改訂で道徳科という科目ができるとかいう話を聞くのだけれど、家庭教師としては文部省のサイトに「道徳科の評価で,特定の考え方を押しつけたり,入試で使用したりはしません。」と書いてある以上、特に関心はない。特定の思想の押し付けはないと言…

漢文を教える意味はあるのか? - そりゃあるんだろうけど…

別にウラをとったわけでもない単なる与太話なのだが、中学の教科書に漢文が載っている理由は、詩吟協会(なんてものがあるのかどうか知らないが)の陰謀ではないかとずっと思っている。詩吟というのは漢詩を独特の節回しをつけて読むもので、幕末ぐらいから…

キャッシュを貯めこんでどうするの? - 暗記派への疑問

人間の記憶はアテにならない 家庭教師という仕事をしていると、ときどき生徒が気の毒になる。学校の教師の中にはずいぶんと大量の知識の暗記を生徒に強いるタイプのひとがいるからだ。そういう教師は、テストに暗記していなければ解けないだろうというタイプ…

「教材」はケチをつける練習台

中学生の頃の私は、本当に嫌な生徒だっただろうと思う。教師から見てね。というのは、教師の誘導には絶対に乗らなかったから。単純にひねくれ者というだけなのだけれど、それが凄まじかった。 たとえば社会のテストで、「イギリス」と書かねばならない解答欄…

学校はなんのために? - 不登校をめぐる見落とされがちな事情

学校は教育のため? 私は学校行かなくてもいいじゃない(いろんな意味で) と思っている。というのも、自分自身が高校時代にはほぼ完全に授業から精神的にエスケープしていたし(早い話が体育以外はほぼ完全に居眠りしてた)、自分の息子(中3)も天下に隠れ…

「教育勅語を教材に」は、もちろんあり得る

私の祖母はもうずいぶん前にこの世を去っているのだが、私をずいぶんとかわいがってくれた。その祖母が小学生だったか中学生だったかの私に向かって話してくれた言葉を思い出す。 「じゅんちゃん、なんでも覚えといたらええんやで。覚えて悪いことは泥棒だけ…

プロは信頼しても、やっぱり安心はできないという話

家庭教師の仕事をやっていると、けっこうな確率で学習障害(LD)に出くわすことになる。家庭教師というと「難関校受験対策のために金持ちが雇うもの」というイメージがあるかもしれないが、実際にはそういうケースはそれほど多くなく(もちろんある程度の比…

軍歌を歌う小学校は実在したか

軍歌ってなんだろう? 先日来、「軍歌をうたわせる幼稚園」というのが話題になっている。「そりゃないだろう」とか「時代錯誤だ」みたいな感じで多くの顰蹙をかっているわけだが、そういう話を見ていて、なんか「軍歌」のイメージがちがうんじゃないかという…

保育園で国歌・国旗は強制できない(技術的にも、法令的にも)

今日もまた、我が家に7人の保育園児がやってきた。前回記事にも書いたが、年長児たちが卒園を前に、「よそのお家」に遊びにくる企画だ。こういう変な企画にノッてきてくれる保育園があって、本当にありがたいなあと思う。そして、保育園って、そういう融通無…

「毎年やってるから」を理由にするのはやめよう

今年も、保育園の年長組の子どもたちが我が家にやってくる。息子が保育園の年長さんだったときに始まったこの行事、今年で9回目。よくここまで続いたもんだと思う。 中身は至って単純。保育園の子どもを5〜8人ぐらい(年によってちがう)のチームに分けて自…

「敬語」は「敬語」じゃない - 文法教育に存在するバグ

敬語は不要ではないか。誰もがそう思う一瞬があるだろう。けれど、なくならない。それには理由がある。 anond.hatelabo.jp 敬語がなければ、日本語が日本語にならない。なぜかといえば、敬語は日本語文法の中にしっかりと食い込んでいるからだ。だから、敬語…

PTAの義務的参加は教育上よろしくない

PTAの問題は、巨大すぎてちょっと正面からは触れない。けれど同時に、子どもをもったら避けて通れない。PTA改革は地域差が大きくてそこそこに進んでいるところでは進んでいるようなので一概に批判ばっかりしているのもなんなのだけれど、少なくとも私の身近…

「破棄ってくる」は、さすがにわからなかった - 通じない言葉をあえて使う意味

いまの若い人には信じられないかもしれないが、ほんの50年ほど前にはまだ「汚い方言はやめましょう。正しい標準語を使いましょう」というのが正義としてまかり通っていた。学校教育ではもちろん、家庭内でまで、伝統的な言葉の使い方は忌むべきものとされた…

学校行かなくてもいいじゃない(いろんな意味で)

「義務教育」という言葉には、トラップがある。このことは以前に別の場所で書いた。 「教育の義務」なのでしょうか? だったらそれはどんな義務なんでしょう? 私の質問に、正しく答えられる生徒は多くありません。「義務教育」という返答が返ってきますから…

アタマが良くなるクスリはないのだけれど…

学校のテスト、特に中学校や高校の試験は、点取りゲームに過ぎない。それ以上でもそれ以下でもない。それが掛け値のない現実。だから、テストのための勉強というのはつまりはゲームでハイスコアをとるためのトレーニング。だから、それがその人の知性に対し…

変わる英語、変わらない英語教育

日本の英語教育は、私が知っている過去数十年だけとっても大きく変わった。指導要領はコミュニケーション重視に大きく舵を切ったし、高校英語では科目構成そのものが大きく組み替えられた。各学校には英語を母語とするALTが配備され、小学校の間から英語に親…

なんで「記録タイマー」をアップグレードする?

「記録タイマー」と聞いて、「ああ、あれだな」とピンとくる人は、おそらく理科教員だろう。塾講師、家庭教師、学参編集者、私のような教育寄生業界の人間かもしれない。ほとんどの人は「記録タイマー」と聞いても、「えっと、ストップウォッチのこと?」ぐ…

因数分解とか、教える意味はあるの? - 教育についてウダウダ書く前に

なんで勉強するの? 中学生ぐらいの子どもたちに、「勉強、好きですか?」って聞いたら、10人のうち8人から9人は「嫌いです」もしくは「好きじゃない」と否定的な答えをよこす。正常だと思う。私も嫌いだった。いまでも嫌いだ。 もちろん、10人のうちに1人か…

「意訳」という言葉への違和感について - あるいはAI翻訳への期待

英語は、私の重要なメシのタネのひとつだ。英語で初めてお金をもらったのはもう30年も前の話。その後、断続的に、15年ほど前からは継続的に、私の生活をささえてくれている。高校時代に英語で危うく落第しかけたことを思えば奇跡のような話だし、海外生活な…

正確な定義の重要性 ─ 不毛な論議を避けるために

「教師の仕事」はいったい何? 「中学校教師の「保健室に通うやっかいな子」という相談に対しての回答が素晴らしいと話題に」という記事に対して多くのブコメがついているので気になってみてみたら、ずいぶんと否定的な反応が多いのにびっくりした。それを読…

AIの方がマシ? ─ ミスはたいてい人間の側で起こる

「高齢運転者」をterrible driverと誤訳したというニュースが話題になっていた。 www.asahi.com もうこれはギャグというレベルでしかないのだが、あえて真面目にどうやったらこんな誤訳が生まれるのかを考えてみた。それはもう、人間のミスとしか言いようが…

Job Descriptionのない世界にて ─ または、指導要領ぐらい読んどけよという話

国語科は、語学教育です! 現役の国語教員によると、「国語」という科目は語学教育ではないのだそうだ。 anond.hatelabo.jp この書き込みは、こちらへの返信ということ。 anond.hatelabo.jp こちらの方は、特に国語教員というわけでもなさそうなので、 内田…

獣道の楽しみとアホらしさ ─ または大学中退者の末路について

秋の「キャニオニング」は楽しいだろうな 先日、妻が息子を「キャニオニング」に連れて行きたいと言ってきた。場所を聞いてみると、むかし、山岳部の連中と一緒に行った美しい沢である。「沢登りに行くのか」と思ったら、どうもそうでもない。所要時間から考…